こんにちわ!都内の大学病院で働く管理栄養士のyu-monkeyと申します。普段は、患者さんの栄養状態の管理や情報提供を行ったり、患者さんの食事を作ったりしています。
今回のテーマはミネラルについて簡単に解説していきたいと思います。
ミネラルは、私たちの体の健康維持に欠かせない「必須栄養素」の一つです。骨や歯の構成成分として働くだけでなく、酵素の活性化や体内の代謝調整、神経や筋肉の正常な機能維持に至るまで、多彩な役割を果たします。
この記事では、ミネラルの種類やそれぞれの役割、摂取不足や過剰摂取のリスク、さらに効率的に摂るコツまで、簡単に解説します。
ミネラルの基礎知識:体内に必要な無機物
ミネラルは、ビタミンと並び必須栄養素に分類される無機物です。体内では生成できないため、食事から摂取する必要があります。種類によって必要量は異なり、摂取量に応じて以下のように分類されます。
- 主要ミネラル(多量ミネラル)
体内に比較的多く存在し、1日あたり100mg以上の摂取が必要なものです。
- カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、リン、硫黄、塩素 - 微量ミネラル(微量元素)
体内には少量しか存在しませんが、重要な働きを持つものです。
- 鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、クロム、マンガン、モリブデン、コバルト
ミネラルの種類とその働き
主要ミネラルの役割と特徴
1. カルシウム
- 役割:
骨や歯を強化し、筋肉の収縮や神経伝達をサポートします。
血液凝固にも関与しています。 - 食品例:牛乳、小魚、豆腐、ほうれん草
- 不足すると:骨粗しょう症、成長障害
- 過剰摂取:腎結石、ミネラルバランスの乱れ
2. カリウム
- 役割:
細胞内外の浸透圧を調整し、筋肉や神経の正常な働きを維持します。
血圧を下げる作用も期待されています。 - 食品例:バナナ、じゃがいも、アボカド、海藻
- 不足すると:高血圧、筋力低下、不整脈
- 過剰摂取:腎機能が低下している場合に不整脈や心停止
3. ナトリウム
- 役割:
体液のバランスを調整し、神経伝達や筋肉の収縮を助けます。 - 食品例:食塩、味噌、漬物
- 不足すると:低ナトリウム血症(倦怠感、めまい、意識障害)
- 過剰摂取:高血圧、むくみ
4. マグネシウム
- 役割:
酵素の活性化やエネルギー代謝を支えるほか、神経伝達の正常化にも関与します。 - 食品例:ナッツ、海藻、大豆製品、玄米
- 不足すると:倦怠感、筋肉のけいれん、不整脈
- 過剰摂取:腸内異常(下痢)、血圧低下
5. リン
- 役割:
骨や歯の構成成分となり、エネルギー代謝を助けます。 - 食品例:肉類、魚介類、乳製品
- 不足すると:骨や歯の脆弱化、筋力低下
- 過剰摂取:カルシウムの吸収阻害
微量ミネラルの役割と特徴
1. 鉄
- 役割:
赤血球内のヘモグロビンの構成成分で、全身に酸素を運びます。 - 食品例:レバー、赤身の肉、ほうれん草
- 不足すると:貧血、倦怠感、免疫力低下
- 過剰摂取:肝機能障害、酸化ストレス増加
2. 亜鉛
- 役割:
細胞分裂をサポートし、免疫機能や味覚の維持に関与します。 - 食品例:牡蠣、牛肉、ナッツ類
- 不足すると:味覚障害、成長遅延、免疫低下
- 過剰摂取:鉄や銅の吸収阻害
3. ヨウ素
- 役割:
甲状腺ホルモンの生成に関与し、代謝を調整します。 - 食品例:海藻類(昆布、わかめ)
- 不足すると:甲状腺腫(ごくう)、代謝低下
- 過剰摂取:甲状腺機能障害
4. セレン
- 役割:
抗酸化作用を持ち、細胞を酸化ストレスから保護します。 - 食品例:魚介類、肉類、卵
- 不足すると:免疫低下、心筋障害
- 過剰摂取:吐き気、爪の異常
ミネラル摂取のポイント
- バランスを意識する
単一のミネラルを大量に摂取すると、他のミネラルの吸収を妨げる場合があります(例:カルシウムと鉄、亜鉛と銅など)。 - 自然な食品から摂る
加工食品はナトリウムが多く、他のミネラルが不足しがちです。野菜、果物、魚介類を中心とした食事が理想です。 - サプリメントは慎重に
不足を補う目的で使用する際は、推奨量を守りましょう。特に妊婦や持病のある方は、医師や管理栄養士に相談を。
まとめ
ミネラルは、生命活動に欠かせない「隠れた主役」です。不足しても過剰摂取しても健康に影響を与えるため、バランスの良い食生活が重要です。日々の食事で自然な形で摂取することで、体の内側から健康をサポートしましょう!