食品の機能?一次機能・二次機能・三次機能を深く掘り下げる

栄養と医療

 こんにちわ!都内の大学病院で働く管理栄養士yu-monkeyと申します。普段は、患者さんの栄養状態の管理や情報提供を行ったり、患者さんの食事を作ったりしています。

 今回のテーマは食品の機能について簡単に解説していきたいと思います。

 食品には、生きるための栄養を供給するだけでなく、私たちの感覚を刺激し、健康を維持するさまざまな役割があります。その役割は大きく 一次機能(栄養機能)二次機能(感覚機能)三次機能(生体調節機能) に分類されます。それぞれの機能について、背景や具体例を交えながら、解説していきます。


一次機能:栄養機能

一次機能とは

一次機能は、生命活動を支えるために必要な栄養素を供給する食品の基本的な役割です。この機能がなければ、体はエネルギーを得られず、正常な生理機能を維持できません。食品が体内でどのように働き、どのようにエネルギーや構成物質を供給するのかが、一次機能の中心となります。

食品が提供する栄養素とその役割

  1. 炭水化物
    • エネルギー源として最も重要な栄養素。1gあたり約4kcalのエネルギーを供給します。
    • 主に米、パン、麺類などの主食に多く含まれます。
    • 食後の血糖値を上昇させるスピード(GI値)にも影響を与えます。
  2. たんぱく質
    • 筋肉や臓器、酵素、ホルモンの材料となる必須の栄養素。
    • 肉、魚、大豆製品に多く含まれる。
    • 体内で必要な20種類のアミノ酸のうち、9種類は食事から摂取する必要があります。
  3. 脂質
    • 高効率のエネルギー源で、1gあたり約9kcalのエネルギーを供給。
    • 細胞膜の構成やホルモンの原料としても重要。
    • ナッツや魚介類に含まれる不飽和脂肪酸(オメガ3・オメガ6)は、心臓病予防にも役立ちます。
  4. ビタミンとミネラル
    • ビタミンは体内の化学反応を助ける酵素の補助因子として働きます。
    • ミネラルは骨の形成や神経伝達など多岐にわたる役割を果たします。
    • 例えば、鉄は酸素運搬に不可欠で、カルシウムは骨や歯の強化に寄与します。
    • 生命活動に欠かせない成分。体重の約60%を占める水は、栄養素の運搬や老廃物の排出、体温調節に不可欠です。

二次機能:感覚機能

二次機能とは

二次機能は、食品の味や香り、見た目、食感といった感覚的な要素を指します。この機能は「食べる楽しさ」や「満足感」を提供し、心理的な充足感にもつながります。

感覚機能の要素

  1. 味覚
    食品には五つの基本味(甘味、酸味、塩味、苦味、旨味)があり、これらが料理の美味しさを生み出します。
    • 甘味:糖質によるエネルギー源の存在を感じさせる味。
    • 塩味:ミネラルバランスを補う重要な味。
    • 旨味:アミノ酸(グルタミン酸)や核酸(イノシン酸)が関与し、深みのある味を感じさせる。
  2. 香り
    • 香り成分は食品の風味の大部分を占めます。
    • 例えば、焼きたてのパンの香ばしい匂いや、新鮮なハーブの爽やかな香りは食欲を増進します。
  3. 食感
    • 食品の硬さや弾力、滑らかさ、サクサク感などが感覚を刺激します。
    • 例えば、揚げ物のサクサク感やもちもちとした食感は、食べる楽しさを高めます。
  4. 見た目(視覚)
    • 色彩や盛り付けの美しさは、食欲や期待感を高めます。
    • 赤いトマトや緑のほうれん草のように、彩り豊かな食材は料理全体の魅力を引き立てます。

三次機能:生体調節機能

三次機能とは

三次機能は、食品が健康を維持し、病気を予防・改善する効果を持つ役割を指します。特に、現代の健康志向の高まりとともに注目を浴びている機能です。

具体的な三次機能の例

  1. 免疫力の向上
    • 乳酸菌やビフィズス菌を含む発酵食品(ヨーグルト、納豆)は、腸内環境を整え、免疫力を高めます。
  2. 抗酸化作用
    • 緑茶のカテキン、赤ワインのポリフェノール、トマトのリコピンは、細胞の酸化を防ぎ、老化や生活習慣病を予防します。
  3. 血糖値コントロール
    • 食物繊維が豊富な野菜や低GI食品は、食後の血糖値の急上昇を抑えます。
  4. 血圧の調整
    • カリウムを多く含むバナナやキウイは、塩分の排出を助け、高血圧予防に寄与します。
  5. リラクゼーション効果
    • チョコレートの成分テオブロミンや、ハーブティーに含まれる香り成分は、ストレス軽減に役立ちます。

食品の三つの機能の相互作用

これらの三つの機能はそれぞれ独立しているわけではなく、相互に補完し合いながら食品の価値を高めています。

例:りんごの場合

  • 一次機能:ビタミンCや食物繊維を供給し、栄養を補う。
  • 二次機能:甘味と酸味のバランスが取れた味とシャキシャキした食感が楽しめる。
  • 三次機能:食物繊維が腸内環境を整え、生活習慣病を予防する。

まとめ:食品機能を理解して食生活を豊かに

食品は単に栄養を補うためだけでなく、感覚的な楽しさや健康を維持する役割も果たします。これらの三つの機能を理解し、日々の食事でバランスよく取り入れることで、より豊かで健康的な生活を実現できるでしょう。

健康志向が高まる現代では、特定の機能を強化した機能性食品も注目されていますが、自然の食品からこれらの機能をバランスよく摂取することが、最も理想的と言えます。

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